ルーマニアが全員サッカーでEURO本大会で24年ぶりの白星を挙げた。内容と結果が一致したファンタスティックな勝利の要因は「美しきショートカウンター」の完成度だった。タレント力でルーマニアを上回るウクライナだったが、自慢の攻撃陣が不発に終わった。
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【グループE】 ルーマニア×ウクライナ (アリアンツ・アレーナ)
3 ー 0
[得]
(ル)
29" スタンチュ
53" R・マリン
57" ドラグシュ
【採点】(0~10の20段階評価。最低点は0。最高点は10。)
GK
1 ニツァ 6・5
限られていた決定機を、しっかりとシャットアウト。集中力を保ちクリーンシートを達成。
DF
2 ラティウ 6・5
ムドリクへの守備対応をしつつ、機を見て右サイドを駆け上がり、崩しを助長した。
3 ドラグーシン 7
191cmの恵まれた体躯と圧倒的なフィジカル能力は群を抜いていた。対人戦で無類の強さを誇り、ドフビクを封殺。殊勲の活躍。
15 ブルカ 6・5
ツィハンコフにもヤルモレンコにもクレバーに対応し、仕事をさせなかった。
11 バンク 6
素早い寄せで常にアグレッシブなプレーを披露。決して後手に回ることはなかった。
MF
6 マリウス・マリン 7 (75分→交代)
スダコフを監視し続け、相手のセンターラインを封殺。ここを封殺したことが勝負の分け目だったのではないだろうか。派手さはないが仕事を忠実にこなすルーマニアを象徴する選手だ。
→4 ルス ー (75分→出場)
20 マン 7 (62分→交代)
切れ味抜群のドリブルはまばゆい光を放った。29分、相手GKのパスをカットし、スタンチュへのアシストで先制点を演出。57分には右サイドのショートコーナーからエリア内に侵入すると、鋭い切り返しで相手DFを置き去りにして、DFの股を抜くパスでドラグシュのゴールをお膳立てした。
→10 ハジ 6 (62分→出場)
相手を背負ってもボールキープを敢行できる能力は父親譲り。ポゼッションを落ち着かせた。
18 ラズバン・マリン 7
ショートカウンターの担い手として推進力をチームに与え続けた。53分には追加点となるスーパーミドルを叩き込んだ。
21 スタンチュ 7・5(87分→交代)
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29分にボックス手前中央でパスを受け、右足を一閃。狙い澄ましたシュートがゴール左上隅に突き刺さり、貴重な先制点となった。ピッチを走り回り守備のタスクをこなしながら、カウンターの際には必ずと言っていいほど前線に顔を出し効果的なプレーを披露。殊勲の活躍だった。
→24 ラコヴィシャン ー (87分→出場)
17 コマン 6 (62分→交代)
縦への意識が強く、時折チャンスメイクに加担。守備の貢献度も含め及第点の働きだった。
→13 ミハイラ 6 (62分→出場)
披露が溜まる時間帯において彼のスピードは相手に脅威を与えるには十分だった。交代のタイミングも優れていた。
FW
19 ドラグシュ 7 (75分→交代)
エリア内でかけひきを繰り返していた狡猾なるストライカーは、57分にマンの速い折り返しを相手DFよりはるかに早く反応しダイレクトで合わせゴールにした。上々のパフォーマンスだった。
→9 プシュカシュ ー (75分→出場)
GK
23 ルニン 4
レアルに所属する実力者ながら、自身のパスミスから痛恨の失点。試合を支配していた時間帯だったので”痛恨”のミスだった。その影響か、判断が悪いプレーが目立ち、その後も2失点を許してしまい、厳しいEUROデビュー戦となった。
DF
2 コノプリャー 5 (72分→交代)
攻守のバランスに長けたタレントながら、攻守どちらのプレーも判断が遅く、精彩を欠いた。
→24 ティムチク 5・5 (72分→出場)
ほとんどなにもできなかった。
13 ザバルニー 5・5
ウクライナの未来を担う逸材も、試合の経過とともにパフォーマンスを落としていった。ビルドアップでの工夫は評価できるが。
22 マトヴィエンコ 5
互角だったドラグシュとの攻防は、時間の経過とともに相手に軍配が上がった。得意のビルドアップでも苦戦。
17 ジンチェンコ 5
順調にキャリアを積んできた実力者だが、この日のパフォーマンスは散々。とりわけ攻撃面の貢献が皆無だった。
MF
6 ステパネンコ 5 (62分→交代)
経験豊富な主将も悪い流れに吞まれ、終始低パフォーマンスだった。
→18 ブラツコ 5・5 (62分→出場)
負けている試合においてプレーが無難すぎた。
19 シャパレンコ 5 (63分→交代)
序盤こそ技術を感じさせるプレーはあったが、先制点を奪われてからは相手のボール奪取の餌食になることが増えた。
→9 ヤレンチュク 5 (63分→出場)
味方との連携が悪く、次第に独りよがりの不毛なプレーが目立った。
15 ツィハンコフ 5 (63分→交代)
ミスが多く攻撃面で貢献度は0に近い。精細を大きく欠いた。
→7 ヤルモレンコ 5 (63分→出場)
流れを変える期待がかかったが、凡庸なプレーに終始。
14 スダコフ 6 (83分→交代)
若き司令塔はボールをピックアップしながら細かいタッチを駆使したドリブル、ショートパスでで攻撃のテンポを作っていた。
→8 マリノフスキー ー (83分→出場)
10 ムドリク 6
チームで唯一”違い”を作れるアタッカーは、要所でクオリティの高いドリブルやパスでチャンスを作っていた。味方のフォローが希薄だったのが悔やまれる。
FW
11 ドフビク 5
ウクライナ3部からリーガ得点王まで躍進したシンデレラボーイも、相手ボックス内ではドラグーシンに完封された。