青の悪魔 徒然雑文

100年後に残る夢

【UEFA EURO 2024】   スペイン vs フランス (準決勝)

スペインの至宝が、フランス相手に新たな歴史を刻んだ。大方の予想通り序盤はスペインがポゼッションで優位に立ち、両サイドのラミネ・ヤマルとニコ・ウィリアムズを起点にチャンスをうかがい、フランスがお家芸のミドルブロックを形成して迎え撃つ。9分、フランスはデンベレが敵陣左サイド深くへ大きく展開し、ボールを収めたエンバペがゴール前に柔らかいクロスを供給。ラポルテのマークを外したコロ・ムアニが頭で押し込み、幸先良く先制に成功。1点ビハインドとなったスペインは21分、敵陣ボックス手前でボールを収めたヤマルが巧みなステップで対峙したラビオをずらし、左足でミドルシュートを狙う。美しい弧を描いた一撃は、貴重な同点弾に加え16歳と362日でのゴールというEURO史上最年少記録でもあった。4分後にはボックス内でクロスのこぼれ球を拾ったダニ・オルモが絶妙なタッチでチュアメニを振り切り、そのまま右足を一閃。あっという間に試合をひっくり返した。後がないフランスは、エンバペとデンベレにボールを集めてチャンスをうかがうが、決定機を作り出すことができない。後半はフランスの猛攻に対してスペインが得意のポゼッションで上手く時間を使い、フランスに決定機を作らせず。試合はこのまま終了。スペインが2012年以来3大会ぶりの決勝進出を決めた。フランスの敗因は、スペインとの「中盤の差」だっただろう。また、スペインに比べ、攻撃は選手の身体能力頼みになっていた。迫力はあるものの崩しは単調で、アイデアに欠けていた。それでもベスト4まで進出することができた「マンパワー」のレベルは計り知れない。

Spain vs France LIVE! Euro 2024 semi-final result, match stream, latest  reaction and updates today

photo by Getty Images

セミファイナル】 スペイン×フランス(アリアンツ・アレーナ

  2   ー 1 

[得]

(ス)

21” ラミネ・ヤマル

25” ダニ・オルモ③

(ド)

9” コロ・ムアニ


【採点】(0~10の20段階評価。最低点は0。最高点は10。)

GK
23 ウナイ・シモン  6

相手のサイドアタックに揺さぶらるも、枠内シュートには問題ない反応を示していた。

 

DF

22 ヘスス・ナバス  614分)(58分→出場)

持ち前の攻撃センスでヤマルを助長。得意としている右サイドの勇敢な突破から高速クロスを上げたプレーは決勝ゴールのきっかけとなった。守備では大苦戦。フランスの先制点の場面ではは、エンバペをしっかりと締めきれずてクロスを上げられなかったことから生まれた。早い時間帯でラビオへの対応で警告を受け、指揮官もヒヤヒヤしただろう。58分に負傷退場。

→5 ビビアン  6・5(58分→出場)

攻撃参加は自重し守備に専念。最終ラインに安定度を加えた。

→4 ナチョ 6

及第点。後半途中から右サイドバックを担当し、バルコラに苦戦したが、結果的にはル・ノルマンの不在を埋めたと言ってよいだろう。

14 ラポルテ  7

ナチョと連携し自陣ボックス内を守り切った。ビルドアップもロドリとファビアンとうまく連携していた。

24 ククレジャ 7

スピードの速いデンベレに対して上手く間合いを取った守備を見せた・自陣近くではデンベレにまったく仕事をさせなかった。

 

MF

16 ロドリ 7

フランスの2列目を監視し、ボール奪取を達成していた。特筆すべきはビハインドを負っているときでも、冷静な組み立てや守備を提供し、チームに落ち着きを与え、勝利の基盤を与えたことだろう。

10 ダニ・オルモ  825分)(76分→交代)
決勝トーナメントで抜群の存在感を放ってきた男は、この試合でも切れ味鋭い攻撃センスを発揮。身体を寄せてきたチュアメニをリフティングのような動きで外し、殊勲の決勝ゴールを挙げた。ペドリの不在を感じさせない殊勲の働きだった。

→6 メリノ  6(76分→出場)

守備のタスクをこなし試合を終わらせた。

 8 ファビアン・ルイス  7

立ち上がりに絶好機を逃したが、ロドリとラポルテと抜群の連係を見せ攻撃の組み立てを担った。カンテのマークを外すスペースの見つけ方は芸術の域。

 

FW

19 ラミネ・ヤマル   8・5(90分+3→交代)

Euro 2024: Spain In Final, France Beaten By Lamine Yamal Wonder Goal And  Spanish Resilience | TimelineDaily

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ラビオにしっかりマークされるなかで、細かなステップでタイミングをずらしながら、シュートコースを見出し、放ったきれいな弧を描いた25メートル弾は「完璧」。その価値は同点ゴール以上のものを秘めていた。今大会最高のパフォーマンスを披露した。

→11 フェラン・トーレス  (90分+3→出場)

17 ニコ・ウィリアムズ  7(90分+4→交代)

ダイレクトプレーとスピード豊かなドリブルでクンデを翻弄。ヤマルとの連携も良質で、両翼が起点となったカウンターで何度もゴールに迫った。

→18 スビメンディ(90分+4→出場)

7 モラタ  6 (76分→交代)

FWとしての迫力は希薄だったが、両翼を活かすべくスペースを作るためのダイアゴナルランや高い守備意識を見せチームのために戦い続けた。

→21 オヤルサバル  6(76分→出場)

短い出場時間ながら周りとの連携の良さを感じさせていた。守備のタスクに従事。

 

GK

16 メニャン 6

2失点はともにスーパーゴールのため、さすがの彼にも止められない。


DF

5 クンデ  5・5

ウィリアムズに手を焼き、前線には顔出す機会は少なかった。オルモのシュートを必死に防ごうとしたが、シュートが強すぎて惜しくも防ぐことができなかった。

4 ウパメカノ 5

ポジショニングが緩慢でモラタにマークを外される場面が散見された。

17 サリバ  6

正確なビルドアップで後方からポゼッションを支えた。オルモを捕まえられることができない場面があったが総じて及第点の働きだっただろう。

22 テオ・エルナンデス  5・5

常に前に出ようとしていたが、ヘスス・ナバスが早い時間帯に警告を受けていたので、もっとチャレンジをしてもよかったかもしれない。76分、グリーズマンのクロスをデンベレが折り返し、カマヴィンガが絡んだボールを拾ってシュートを放つも枠を捉えられなかった。

 

MF

8 チュアメニ 60分)

オルモを捕まえきれず、中盤を締めあげることができなかった。ビハインドの展開ながら最後方から凡庸な組み立てに従事していた。フル出場の采配にも疑問が残る。

13 カンテ  5 (62分→交代)

試合の入りは良かったが、スペインが試合の主導権を握ると、ボール奪取力は影を潜めた。チームに積極性を注入しようとし、できる限り前に出ようとしたが、試合の多くの時間を守備に費やすことを余儀なくされていた。

→7 グリーズマン (62分→出場)

エンバペの後方からチャンスメイクを狙ったが、効果を生むプレーは何もなかった。

14 ラビオ 4・5 (62分→交代)

攻撃の貢献度は相変わらず低い。ヘスス・ナバスへの軽い対応や、ヤマルに翻弄されるなど攻守でいいところがなかった。

→6 カマヴィンガ 5・5 (62分→交代)89分)

交代直後は的確なパスで流れを変えかけていたが、徐々にプレーのクオリティが下がっていった。

 

FW

11 デンベレ    (79分→交代)

見るべき部分は先制点の起点となったことだけで、後はククレジャに封殺され、試合から消えていた。前半で見切るべきだったのではないだろうか。

→9 ジルー  5・5  (79分→出場)

チャンスには絡めなかった。テュラムではなく、彼の起用は論争の種となるに違いない。

12 コロ・ムアニ   6(63分→交代)

ゴール前では良い動きと落ち着きを見せ、先制点を決めた。その後は鳴かず飛ばずの状態で、相手の脅威にはなれなかった。

→25 バルコラ 6 (63分→出場)

トリッキーなプレーで左サイドからいくつか可能性を感じさせるプレーを披露。

10 エンバベ 

コロ・ムアニへのアシストとなったクロスは素晴らしかった。その後は果敢にシュートを放ったが、ほとんどが枠外だった。86分には独力で持ち上がり、カットインして右足を振り抜いたが、シュートは枠を大きく外れた。大会序盤の怪我の影響が色濃く残っていた。