EUROでは3大会連続の顔合わせとなった一戦。序盤からポルトガルがポゼッションで優位に立ち、フランスはカウンターから鋭い攻撃を見せる。主導権が目まぐるしく入れ替わる攻防は、ベスト8らしい緊張感がピッチに張り詰められ、ともにシュートまで持ち込めない展開に。終盤、オープンな展開となり、フランスがカウンターでゴールを脅かすも、エンバペのシュートはディオゴ・コスタがキャッチし、延長戦へと突入した。そして120分間でも得点は生まれることなく、PK戦へと突入する。先攻のフランスは3人目まで全員成功するも、ポルトガルは3人目のフェリックスが左ポストに当ててしまう。すると、フランスは5人目のテオ・エルナンデスまできっちりと成功し、PK戦5-3でポルトガルを下した。勝利したフランスは、準決勝でスペインと対戦する。敗退したポルトガルはC・ロナウソと心中した指揮官の評価は分かれるところだが、サッカーIQの高い選手を多く要したテクニカルなポゼッションサッカーは大会に彩を与えていた。
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【ラウンド8】 ポルトガル×フランス (フォルクスパルクシュタディオン)
0 ー 0
EX
(前半 0 ー 0)
(後半 0 ー 0)
penalty kicks
(3-5)
(ポ)
7 ロナウド 〇
10 ベルナルド・シウバ 〇
11 フェリックス ×
19 メンデス 〇
(フ)
11 デンベレ 〇
19 フォファナ 〇
5 クンデ 〇
25 バルコラ 〇
22 テオ・エルナンデス 〇
【採点】(0~10の20段階評価。最低点は0。最高点は10。)
GK
22 ディオゴ・コスタ 6・5
優れたポジショニングから安定したセービングを披露。PK戦では二試合連続でヒーローとはいかなかった。
DF
20 カンセロ 6 (74分→交代)
エンバペの監視タスクがあるため、攻撃の自由は制限されていたが、61分にB・フェルナンデスに素晴らしいスルーパスを通した。
→2 ネウソン・セメド 6 (74分→出場)
なるべく前線に顔を出し、ボールホルダーに選択肢を与えていた。
4 ルベン・ディアス 6・5
自陣ボックス内での守備が光った。65分にはこの試合最大のピンチを迎えたが、コロ・ムアニのシュートをスライディングでブロックした。
3 ペペ 7
卓越した守備スキルを発揮。30分には自陣ボックス内でコロ・ムアニから円熟味溢れる守備でボール奪取。デンベレのクロスボールを阻止し、エンバペに対しても見事なブロックを見せていた。
19 メンデス 6
ピッチの広範囲に神出鬼没に現れた。果敢に前線に攻め上がり、攻撃を助長したが、クロス精度は欠いた。試合終了間際に放たれたシュートは力なくメニャンに阻まれた。
MF
6 パリーニャ 6(■79分) (90+2分→交代)
ピッチ中央で攻守で及第点の働きだった。味方がボールを保持しているときは、縦方向ではなく横方向にボールをうまく運び、分配した。後半に果敢に打ったシュートはメニャンの好セーブに阻まれた。
→18 ルベン・ネベス 5・5 (90+2分→出場)
良く言えばシンプルな組み立てに従事。悪く言えば組み立てが凡庸。
23 ヴィチーニャ 6・5 (119分→交代)
ルーズなパスやタッチを拾い、チームのポゼッションに置き換えてしまう術は、フランスにとっては厄介だっただろう。62分にレオンとのワンツーからフリーで相手ボックス内からシュートを放つもコースがメニャンの正面だった。
→18 マテウス・ヌネス ー (119分→出場)
8 ブルーノ・フェルナンデス 6 (74分→交代)
チームのチャンスにことごとく絡んでいたが、ラストプレーの精度を欠いていた。守備では自陣ボックス内でグリーズマンのパスをインターセプトする素晴らしい読みを決めた。交代はやや早かったか。
→26 コンセイソン 6・5 (74分→出場)
素晴らしいスピードと機敏さを見せ、サリバのファウルを引き出すなど、相手の脅威になっていた。試合終了間際にはフェリックスに良質なクロスを供給した。
FW
10 ベルナルド・シウバ 6
エンバペに対してカンセロとともにマークを強めた。92分には独力のドリブル突破で決定機を演出したが、攻撃で効果を生んだのはこのぷれーだけだった。
17 レオン 7 (106分→交代)
フランスにとって最も脅威的な選手だった。クロス精度こそ低かったが、独力でチャンスを作り出していた。徐々に運動量が減少し、延長後半に交代。
→11 フェリックス 4・5 (106分→出場)
決定機をことごとく逃し、悔しい内容。PK戦でもポストに嫌われてた。
7 ロナウド 4
92分のB・シウバから相手ボックス内でフリーで受けた場面は決めたかった。120分間で試合に影響を与えるプレーは一つもなかった。
GK
16 メニャン 7
60分に自陣ボックス内に抜け出したB・フェルナンデスのシュートを右手一本でビッグセーブ。要所で実力を示していた。
DF
5 クンデ 6
キレキレのレオンに手を焼いた。しかし、ドリブルで抜かれたのは一度だけで粘り強い対応を続けていた。自陣からボールを敵陣に運ぶ仕事も効果を生んでいた。
4 ウパメカノ 6・5
前半は対応が後手に回っていた。後半以降は対人プレーの強さで確固たる存在感を示した。クンデに対するカバーリングでフォローし、延長前半はレオンを見事なブロックで阻止した。
17 サリバ 7・5 (■84分)
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傑出したパフォーマンスを披露。ロナウドに前を向かせず、ベルナルド・シウバを阻止する素晴らしいブロックを見せるなど、最終ラインに極上の安定感を与えていた。
22 テオ・エルナンデス 7
守備でのクレバーな対応が試合を通して効いていた。エンバペとのコンビネーションもまずまず。
MF
8 チュアメニ 6
中盤の底で組み立てと相手のカウンターの火消を実行。前半に比べ後半以降、ややパフォーマンスが落ちた。
13 カンテ 6・5
彼にしかできないようなインターセプトもいくつかあったが、組み立てにおいてはパスミスが散見された。時間の経過とともに、運動量で優位に立ち増し、ショートカウンターを主導した。
6 カマヴィンガ 6・5 (91分→交代)
スピードを活かした粘り強い対人プレーが光った。パスワークでも貢献。69分の相手ボックス内のこぼれ球を拾った場面は、決めておきたいところだった。
→19 フォファナ 6 (91分→交代)
セカンドボールを広い、ボールを前線に供給。チームに推進力を与えていた。
7 グリーズマン 5・5 (67分→交代)
チャンスメイカーとしては影が薄かったが、中盤とアタッカー陣を繋ぐ潤滑油として機能をしていた。
→11 デンベレ 7 (67分→出場)
スピードを活かした仕掛けは、この試合において最も得点の予感を感じさせ、独力で試合の流れを変えかけていた。左上隅への素晴らしい軌道のシュートで先制点を決めそうになったが、惜しむべくはフィニッシュワークの精度を欠いていたことか。
FW
12 コロ・ムアニ 5(86分→交代)
前半はボールを受けられず、空中戦でも苦戦した。唯一のビッグチャンスはディアスにブロックされた。ややプレーが消極的だったか。献身的なプレスバックなど、守備面では一定の貢献があった。
→15 テュラム 6(86分→出場)
何度かチャンスに絡んだが、ペペの狡猾な守備の前に不発。
10 エンバペ 6・ (106分→交代)
驚異的なスピードとドリブル能力で、時折違いを作っていたが、万全の状態ではないのは明らか。顔面の怪我が悪化し、延長後半頭に交代となった。
→25 バルコラ 6 (106分→出場)
鋭い動き出しからシュートを放つなど、存在感は見せた。PK戦では良く決めた。