タレント軍団同士の好ゲームは、序盤から一進一退の攻防が続く。決定機を多く作っていたフランスが85分にベルギーの牙城を崩し、ベスト8進出を果たした。両チームともに攻守のバランスを重視した試合は、交代カードを使わないまま80分まで進んでいった。戦術対戦術の濃密な玄人好みのゲームはEUROという大会のレベルの高さを知らしめていた。組織的に優れていたのはベルギーだったが、それでもフランスは負けない。圧倒的な個の力は、サッカーの面白さと残酷さが同居している。
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【ラウンド16】 フランス×ベルギー (エスプリ・アリーナ)
1 ー 0
[得]
(フ)
84” OG(フェルトンゲン)
【採点】(0~10の20段階評価。最低点は0。最高点は10。)
GK
16 メニャン 7
開始早々見事なとび出しを見せ、プレーエリアの広さを証明。23分にはデ・ブライネの落ちてくる直接FKを足でセーブ。70分にはルカクのシュートをストップし、82分にはデ・ブライネのミドルを好セーブ。クリーンシートを達成し、ベスト8進出の立役者となった。
DF
5 クンデ 7・5
12分には相手ボックス内に侵入し、チャンスに絡んだ。守備ではドクに対して屈強な対応を見せていた。攻守で印象的な活躍だった。
4 ウパメカノ 7
対人プレーの強さに加えて見事なカバーリングを見せるなど、高いパフォーマンスを披露した。
17 サリバ 8 MVP
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屈強な守備ブロックを形成した立役者。ルカクへの対応はインテリジェンスに溢れていた。ルカクを蚊帳の外へ追いやった功績の大きさは言うまでもないだろう。
22 テオ・エルナンデス 7・5
60分、デ・ブライネのスルーパスを受けたカラスコの絶好機をスライディングでシャットアウト。1点物のスーパーなプレーだった。攻撃でもエムバベを追い越すフリーランニングを見せ、攻守で躍動した。
MF
8 チュアメニ 7(■14分)
これまでの試合より攻撃に意識が向いており、クンデに見事なサイドチェンジを何度も供給していた。38分のミドルはカステールスに止められた。
13 カンテ 6・5
フロントボールを受ける技術は圧巻。セカンドボールを回収し、丁寧なパスでゲームをコントロール。
14 ラビオ 6(■24分)→次戦出場停止
攻撃陣にスペースを与え、黒子役として機能。これまでの試合よりパフォーマンスは上がっているように見えたが、ベスト8は累積警告により出場停止となってしまった。
FW
7 グリーズマン 5・5(■23分)
右サイドでボールを収め、チャンスを創出したが、フィニッシュワークが本来の調子からは程遠い印象。
10 エンバペ 6・5
45分、個人突破で相手を引き剥がし、チャンスを創出。随所で異次元のプレーを見せたが、シュート精度をやや欠いた。
15 テュラム 5(62分→交代)
チャンスをモノにできず悔しい内容。ボールをよく収め、プレスバックでは貢献していたが。
→12 コロ・ムアニ 7 (62分→出場)
交代直後からボールを収め、起点となっていた。決勝ゴールは結果としてはオウンゴールだが、シュートまでもっていった彼のポジショニングと積極性の賜物であることに変わりはない。殊勲の活躍。
GK
1 カステールス 6・5
38分、チュアメニのコントロールショットをビッグセーブで防いだ。49分にもファエスの足に当たってコースが変わったシュートを止めた。失点シーンは不運としか言いようがない。
DF
21 カスターニュ 7 (87分→交代)
エンバペに対してのクレバーな守備は評価すべき内容だった。
→17 デ・ケテラエル ー (87分→出場)
4 ファエス 7
相手の多様な攻撃にアグレッシブに立ち向かい、エアバトルでも強さを見せた。エンバペに対するカバーリングも秀逸だった。
5 フェルトンゲン 7
DFラインを巧みに統制していた。カバーリングの巧さは芸術の域。オウンゴールは不運としか言いようがない。
3 テアテ 7
寄せが早く、後手に回らずに非常に安定した守備を披露。攻撃面でも一定の貢献をしていた。
MF
24 オナナ 7
相手のチャンスの芽を刈り取る働きが光った。欲を言えばカウンターの際に推進力をもたらしたかったが、彼の守備のタスクを考えれば酷というものか。
11 カラスコ 5 (87分→交代)
前半は機敏性を活かし、チャンスに絡むも、後半はボールを引き出すことができなかった。彼だけの責任ではないが、動き出しが一辺倒だったのも事実。
→14 ルケバキオ 5・5 (87分→出場)
ボールを引いた位置で受けるも、効果的なプレーは創出できなかった。
7 デ・ブライネ 7
前半はバランスを保ち主に献身的な守備を披露。マンガラ投入後は攻撃をけん引し、攻勢を強めたが、1点が遠かった。彼自体のパフォーマンスは素晴らしかったが…。
FW
20 オペンダ 6(64分→交代)
圧倒的なスピードを活かし、攻撃を活性化。チャンスによく絡んでいたが、後半はボールを引き出すことが減少していった。
→18 マンガラ 6 (64分→出場)
デ・ブライネのポジションを一列上げるために投入。自身の役割はしっかりこなしていた。
22 ドク 6
評価は難しいところ。局面でのひとつひとつのプレーはファンタスティックだが、周りと連動する仕掛けや崩しにおいての貢献度が低く「影響力」が足りなかった。
10 ルカク 4・5
フランスの守備ブロックに試合からほとんど消された。彼に依存するしかないところにベルギーの限界が露呈されていたのかもしれない。