青の悪魔 徒然雑文

100年後に残る夢

【UEFA EURO 2024】   スペイン vs ドイツ (ベスト8)

今大会で質の高いサッカーを披露しているスペインとドイツの「事実上の決勝」。お互いに主導権を握ろうと、立ち上がり早々から球際で激しさを見せる。お互いにストロングポイントをつぶし合いながらも、ショートカウンターからチャンスを作っていく図式となっていく。均衡を破ったのはスペイン。51分、右サイドからラミネ・ヤマルが中央へ送ったグラウンダーのパスをダニ・オルモが右足インサイドでゴール左隅に流し込んだ。1点を追うドイツも反撃に出るが、スペインGKシモンのファインセーブにも遭い、中々ゴールが奪えない。しかし不屈のゲルマン魂が発揮される。クロスボールをキミッヒが頭で落としたところ、後半から出場していたヴィルツが89分に右足で蹴り込み、土壇場で1-1の同点に戻し、延長戦に突入した。一進一退の攻防が続くなか、延長前半15分にはドイツが決定機を迎える。左からの折り返しをヴィルツが左足で狙ったが、ゴール右へわずかに外れた。そしてPK戦突入と思われた延長後半14分、左サイドからダニ・オルモがクロスボールを送ると、ミケル・メリーノがヘディングシュートを決めた。そのままスペインがドイツの猛攻をしのぎ切り、2-1で競り勝ち準決勝進出を決めた。今大会を最後に引退するドイツのクロースは、大会の中で正確なパスで攻撃を組み立て、今なお世界トップレベルにあるプレーを披露した。惜しまれつつも、これがラストゲームとなった。

Euro 2024, Spain vs Germany Live Score: ESP 1-0 GER; Olmo strikes in second  half | Hindustan Times

photo by Getty Images

【ラウンド8】 スペイン×ドイツ(メルセデス・ベンツ・アレーナ)

  2   ー 1 

            EX

       (前半 0 ー 0)

       (後半 1 ー 0)

[得]

(ス)

51” ダニ・オルモ②

119” メリノ

(ド)

89” ヴィルツ②

【採点】(0~10の20段階評価。最低点は0。最高点は10。)

GK
23 ウナイ・シモン  782分)

116分にはクロスに合わせたフュルクルクのヘディングをビッグセーブ。総じて高いキック精度を披露していたが、時にとんでもないミスキックも混在していた。

 

DF

2 ダニエル・カルバハル  6・5100分)(120分+5)→退場

71分にはハフェルツの自陣ボックス内のシュートをブロック。警告をもらっていた時点で累積により準決勝は出場停止だったので、延長後半ATの退場となったファウルはファインプレーだったと言える。

3 ル・ノルマン 629分)→次戦出場停止(46分→交代)

開始早々からギュンドアンに対して激しい守備を見せていたが、警告をもらい前半でピッチを去った。準決勝も出場停止。

→4 ナチョ 6・5(46分→出場)

後半からル・ノルマンから守備を引き継いだ。77分には自陣ボックス内での相手の決定機に対して フュルクルクになんとか食らいつき、シュートはポストを叩いた。

14 ラポルテ  7・5

自陣から敵陣にボールを持ち運び、質の高い組み立ての起点となっていた。守備でも要所で素晴らしいクリアを見せるなど、攻守で印象的なパフォーマンスを披露した。

24 ククレジャ 7

前半は献身的な守備でドイツのカウンターを発火させなかった。後半はオーバーラップからチャンスに絡み、攻守でアグレッシブに闘った。

 

MF

16 ロドリ110分) 7・5

前半はボール奪取からサイドに縦パスを出し、ショートカウンターの中核を担った。後半も何度もボールを奪い、組み立てにおいてはほとんどボールを相手に奪われなかった。

20 ペドリ   (8分→交代)

クロースの激しいタックルを受け、左足を負傷。 一度はピッチに戻ったものの、わずか8分で交代となり、涙を流しながらピッチを後にした。

→10 ダニ・オルモ  8(8分→出場)

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緊急出場ながら、試合にすんなり馴染んだ。先制点は狡猾な動き出しとポジショニングが織りなした賜物。危険なドリブルを仕掛け、相手から大量のファウルを誘いながら、常にスペインの攻撃をけん引していた印象。決勝ゴールのアシストも決め、大車輪の活躍だった。

 8 ファビアン・ルイス  7・5(102分→交代))(120分+1)

ボールの逃げ場所を探すポジショニングセンスが、どれだけチームのポゼッションを高めている要因となっているか。守備でも懸命に働きながら、ボールをヤマルとウィリアムズに最短時間で届ける仕事人の攻守においての貢献度は計り知れない。

→9  ホセル (102分→出場)

特に見せ場はなかった。

 

FW

19 ラミネ・ヤマル   7(63分→交代)

大一番の雰囲気に吞まれたか、前半は精彩を欠いていた。しかし、後半は攻撃センスを存分に披露し、ラウムを翻弄。モラタに好機を演出した後、ダニ・オルモのゴールを独特のパスでアシストし、今大会3アシスト目を記録した。

→11 フェラン・トーレス  5・5 (63分→出場)74分)

ヤマルほどの脅威をもたらすことはできず、終了間際の絶好のチャンスも逃してしまった。

17 ニコ・ウィリアムズ  7(80分→交代)

ポゼッションから急にスイッチが入る彼のスピードを起点とした崩しは、ドイツ守備陣ににとって最も厄介だったはずだ。ヤマルとの連携も非常に高かった。

→6 メリノ 7・5(80分→出場)

119分には滞空時間の長いヘディングで決勝点を決めてヒーローとなった。

 

FW

7 モラタ  6・5 (80分→交代)

前半から動きが良く、後半開始早々に相手ボックス内で反転から良いかたちでシュートを放つも、ボールは枠外へ。ターゲットマンとして良い働きをしていた。

→21 オヤルサバル  6・5(80分→出場)

広範囲でボールを受け、ポゼッションを高める仕事をこなした。103分には素晴らしいミドルも放った。

 

GK
1 ノイアー 7

反射神経に優れた好セーブを連発。2失点は、どちらも止めることは難しい。

 

DF

6 キミッヒ  8

攻守で傑出したパフォーマンスを見せていた。ウィリアムズの鋭い仕掛けにも、しっかりとケアをしていた。敵陣ボックス内に危険なクロスを何度も供給。空中戦を頭脳的に制し、ヴィルツの同点ゴールをアシストした。

2 リュディガー  6 13分)

ハフェルツへ何度か後方から良いボールを通していた。自陣ボックス内の守備では”鉄壁”とはいかなかった。

4 ター  6(80分→交代)

効果的なインターセプトをいくつか決めたが、モラタの広範囲にわたる動き出しに翻弄されマークを外す場面も目立っていた。

→13 ミュラー 6(80分→出場)

期待を受けて満を持しての投入。ポジショニングで優位に立つ場面もあったが、決定的なプレーをするには至らなかった。 

3 ラウム 5・528分)(56分→交代)

前半はヤマルに対して冷静な守備を見せていた。後半はカルバハルの攻め上がりに手を焼き、守備の対応が後手に回った。

→18 ミッテルシュテット  6(56分→出場)73分)

守備では凡ミスもあったが、攻撃では特性を発揮し、同点ゴールの起点となるクロスを供給した。

 

MF

25 エムレ・ジャン 5・546分→交代)

ファーストチョイスは指揮官のミスチョイスだった。組み立ては丁寧だったが、球際で出足が遅く、さらに強度を欠いていた。

→23 アンドリッヒ 5・546分→出場)56分)

球際で激しさを見せるも、不必要なファウルで警告を受けた。果敢に組み立てに関与するも、ミスも目立った。

8 クロース  5・567分)

相変わらず正確な長短を織り交ぜたパスで良質なタクトを揮った。しかし、球際の激しさが目立つ試合展開の中では、守備力の低さを露呈されていたのは事実で、退場になっていてもおかしくなかった。失点シーンはダニ・オルモにスペースを与えてしまったが、相手のポジショニングを褒めるべきか。

10 ムシアラ 5・5

眩いほどの才能は大一番では中々個性を発揮できなかった。それでも随所でテクニカルなプレーは披露していた。

19 サネ  5(46分→交代)

ラポルテのビルドアップにプレッシャーをかけ続けたが、さほど効果はなかった。攻撃面では何もできなかった。

→17 ヴィルツ 7・546分→出場)94分)

相手のプレスがぎりぎり来られないところでボールを受け、正確なトラップから攻撃に転じる――この一連のプレーがドイツに流れを呼び込んでいた。終了間際に同点ゴールを上げ、監督の信頼に応えた。ファンタスティックなパフォーマンスだったが、105分の決定機は決めたかったか。

21 ギュンドアン 5・5(56分→交代)

良いかたちでボールを受けれたのは立ち上がりだけ。次第にロドリに特性を消されていった。この攻防の勝敗は、試合の勝敗を分けた重要な要因だった。

→9 フュルクルク 6・5(56分→出場)

CFらしいシンプルな動きがドイツの攻撃の選択を絞り、それが功を奏していた。相手ボックス内でターゲットとなり、ゴールに迫ったが、どうしてもゴールが遠かった。

 

FW
7 ハフェルツ  6・5(91分→交代)

エレガントなトラップでボールを収め、攻撃を最前線でけん引した。空中戦などでも優位に立っていたが、フィニッシュワークの精度だけが欠けていた。

→16 アントン 6(91分→出場)

最終ラインで強固な守備を見せていた。

 

※15 シュロッターベック(90分)→ベンチでの警告

※26 ウンダブ(113分)→ベンチでの警告